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宮沢賢治
 「銀河鉄道の夜」

 生誕100周年記念番組「銀河鉄道の夜~宮澤賢治の世界を探る~」は、サンシャイン・プラネタリウム、神戸市立青少年科学館・つくばエキスポセンタープラネタリウム・島根県立三瓶自然館の4館共同製作で、1996年の夏休み期間中それらの4館で投影されていました。


 この物語ほどプラネタリウム向きの話はないと思いますが、平見修二さんの脚本は原作のストーリーをただなぞるようなことはせず、鍵になるシーンを辿りながら物語の裏に隠された賢治の真意に迫っていきます。

 制作:株式会社トマソン

 脚本:平見 修二

 声の出演:生野文治/渡辺久美子/渡辺美佐/田原アルノ​/中澤やよい/松本保典/氷上恭子

 実はプラネタリウムで「銀河鉄道の夜」を描くのはこれが始めてではありませんでした。ですから最初お話があった時には、全く新たなジョバンニやカムパネルラを描けるかどうか自信が無く、かなり迷いました。でも取り組む上でこれ程やり甲斐のある物語もありません。

 

 大勢の方が賢治の世界を描いていますが、ジョバンニやカムパネルラをはっきりとした輪郭を持ったキャラクターとして描いている方は少なく、多くの方たちは抽象的な表現に止めているように思います。賢治の世界を絵で表現するときに、誰もがこの「描き込みすぎない」事に気を使います。でもそのあまり絵の中での登場人物達がぼんやりと曖昧で、影の薄い存在になってしまっているようにも感じていました。

 私がアニメーション出身だからかもしれませんが、ジョバンニやカムパネルラを、生き生きとして豊かな表情を持つ、存在感のある少年として描くことは、とても必要なことのように思われました。(それは同時に、多くの人から「こんなのジョバンニじゃない。」などと言われるであろう事を覚悟しなければならないということですが。)

 

 結局過去の作品を頭の中からぬぐい去って、新たなジョバンニやカムパネルラを和紙の貼り絵で表現しました。汽車やその他の物も全て同じ手法で制作しています。

​​(各イラストは、クリックで拡大表示されます。残念ながら一部の絵は失われてしまっており、当時番組で使われた全ての絵は揃っていません。)

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